建築基準法第38条の規定に基づき、階段室型共同住宅の階段部分に通ずる出入口に設ける甲種防火戸の構造と同等以上の効力があると認める件について
従来、政府施策住宅の共同住宅の設計については、建設省住宅局が中心となって火災実験等を行い、設計上各種の安全確保のための措置が講ぜられてきたところである。一方、建築基準法施行令(昭和25年政令第338号。以下「令」という)の一部を改正する政令の施行に伴い、防火、避難及び安全等の性能を確保するために必要とされる防火区画、避難施設、内装制限等に関する基準の整備が図られてきたことは、先般通達済みのとおりである。
標記構造を有する階段室型共同住宅は、排煙上有効な外気に開放された十分大きな開口部を有し、かつ、火災時に当該火災にかかる階段を使用しないで、十分外気に開放されたバルコニーその他これに類するものを経由して、安全に避難(二方向避難)できる構造を有するもので、前記令の一部を改正する政令の趣旨に鑑み、防火上、避難上及び安全上十分な効力が確保されていると認められたので、建築基準法第38条により、別添建設省告示第3224号のとおり、令第112条第13項各号の規定を適用除外とすることができるようにしたものである。
また、前記令の一部を改正する政令の施行に伴い、当該改正と直接関係しない片廊下型共同住宅の階段の取扱いについて一部に疑義を生じている向きもあるので、下記のとおりその取扱いについて申し添える。
記
令第123条第2項に規定する屋外に設ける避難階段とは、階段自体の周囲が外気に開放されている構造の階段又は、居室部分からバルコニーその他これに類する外気に開放された廊下等を経由して到達するように設けられた階段で、外気に十分開放されたものをいうものである。この場合は、令第123条第2項第二号の規定は、バルコニー等が外気に開放されていて屋外部分と解せられるので適用されない。
なお、これらの屋外とみなされるバルコニー廊下等の構造は、火災時に発生する煙が天井部に滞留せず、かつ、住戸内若しくは階段の部分に流入しない構造とする必要があるので、当該バルコニー、廊下等の天井の外周には、垂れ壁等を設けないこととするほか、バルコニー廊下等と階段の接続部分には、廊下の天井部分から、おおむね35センチメートル以上下方に突き出した排煙上有効な垂れ壁その他これと同等以上の煙を妨げる効力のあるもので、不燃材料で造り、又は、おおわれたもので区画する等の措置を要する。
また、バルコニー及び廊下等の外周に止むを得ず小梁等を設けなければならない場合には、当該小梁の下端から更に下方へ突き出した排煙上有効な垂れ壁等をバルコニー、廊下等の延長方向を区画するように設ける等の排煙上有効な措置を要する。
〔注〕建設省告示第3224号は、昭和49年12月28日建設省告示第1580号により廃止
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