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ペナック先生が提唱する「読者の権利10ヵ条」で本嫌いを克服しよう!

書店には、何十冊も読書術の本があります。インターネットでも、いろんな読書術が紹介されているのを見かけると思います。

それらの読書術とは一線を画しているのが、『ペナック先生の愉快な読書法』です。私が行った書店では文学のコーナーに置かれていたので、書店員さんもその違いを認識しているようです。

 

 

本書で作者が提唱している「読者の権利10ヵ条」には、読書に対する苦手意識を克服するための気づきがあります。

読者の権利10ヵ条について書いてある最後の30ページを読むためだけでも、購入する価値があると思います。

 

 

 

『ペナック先生の愉快な読書法』の概要

まずは、作者の「ダニエル・ペナック」を紹介します。

1944年、モロッコのカサブランカ生まれのフランス人。父親は植民地軍の将校で、小さいときにアフリカ、アジア、ヨーロッパ各地を旅行する。大学を卒業後は、中学の教師となる。1995年まで週9時間、高校教師もつとめる。
現在は児童文学、エッセイ、推理小説、純文学のいずれも同時にこなす作家として活動している。また朗読をはじめ、自作の演劇を演じる役者でもあり、2006年2月には自作『メルシー』で一人芝居を行う。
フランスで「最も愛されている作家」(『ヌーヴェル・オプセルヴァトール』誌)。

出典:ペナック先生の愉快な読書法 プロフィール

ペナック氏はフランス人の作家なので、表現が独特でなじみが無いかもしれません。しかし、語りかけるように書かれていて小説調になっているので、そこまで身構える必要はありません。

 

本書は、4つの章で構成されています。

  1. 錬金術師としての読者の誕生
  2. 本を読まなければならない(教義)
  3. 本を読みたい気持ちにさせる
  4. 読者の権利10ヵ条(あるいは読者が絶対に持っている権利)

第1〜3章では小学生から高校生くらいの若者にスポットを当てて、あらゆる角度から読書について語っています。

私はこの範囲を流し読みして気になったところだけを集中して読んだので、30分ほどで読み終わりました。正直な感想を言うと、フランスと日本では背景が違うのであまり響くところがなくて、じっくり読んだのは1箇所だけでした。

私のおすすめは第4章です。本全体の15%ほどのページ数ですが、この本のエッセンスが詰まっていると思います。

 

そもそも、あなたには本を読みたいという欲求がありますか

本を読む時間についての問題が提起されるということは、すなわちその欲求がないことを意味する。

出典:ペナック先生の愉快な読書法 142ページ

人間は本を読まなくても生きていけます。それでは、なぜ本を読むのか?

答えはシンプルです。読みたいから読む、ただそれだけです。

 

大成功を収めた人たちが、みんな読書家であるかと言うとそうでもありません。それに、本から何かを学ばなければいけない訳でもありません。

学びになる読書をするに越したことはありませんが、「本の必要性」は個人によって違うのが当たり前です。

もし、「本を読まなければいけない」という強迫観念があるのなら、そんな気持ちはほっておきましょう。それは内から湧き出る欲求ではなく、外部からの(悪い)刺激によるものです。

 

読書の権利10ヵ条で、注目すべき権利は4つある

ペナック氏は「読者の権利10ヵ条」を、以下のように提唱しています。

  1. 読まない権利
  2. 飛ばし読みする権利
  3. 最後まで読まない権利
  4. 読み返す権利
  5. 手当り次第に何でも読む権利
  6. ボヴァリズムの権利
  7. どこで読んでもいい権利
  8. あちこち拾い読みする権利
  9. 声を出して読む権利
  10. 黙っている権利

読書に対して苦手意識を持っている人に注目してほしいのは、「読まない権利」「飛ばし読みする権利」「最後まで読まない権利」「黙っている権利」の4つです。

ひとつずつ順番に見ていくので、この4つの権利については注意して読んでください。

 

読まない権利

読むことを前提にしてしまうと、それは義務になってしまいます。本を読む権利があるならば、本を読まない権利もあるという訳です。

飛ばし読みする権利

分からないところは飛ばしてしまってもいいんです。自分でページを選んで飛ばし読みしながら理解できるところを自分で決定しなければ、作者の書いたとおりに読むことを強制されてしまいます。

最後まで読まない権利

読む価値のある本だと思って手に取ってみても、さっぱり分からない、あるいはほんの少ししか分からずに、何の手掛かりも与えてくれない「無縁さ」を感じることがあります。そんなときは、最後まで読まないで機が熟するのを待つべきです。

読み返す権利

挫折した本を読み返す。斜め読みしないで読み返す。別の角度から読み返す。確認のために読み返す。あるいは、特に理由もなく読み返す。すべてあなたに認められている権利です。

手当たり次第に何でも読む権利

世の中には、「良い」本と「悪い」本があります。しかし、良い本だけを読まなければいけない訳ではありません。悪い本が、逆説的に読書の良さを教えてくれることもあります。

ボヴァリズムの権利

筆者は、ボヴァリズムを「小説に書いてあることに染まりやすい病気」としています。デジタル大辞泉によると、「現実と夢との不釣り合いから幻影を抱く精神状態」のことのようです。つまり、作品に酔いしれてもいいということです。

どこで読んでもいい権利

三上(馬上・枕上・厠上)は文章を考えるのに最も都合がよいとされる3つの場面ですが、本を読む場合にも当てはまります。現代で言うと、電車の中・布団の中・トイレの中ですね。もちろん、他のどんな場面でも本を読んでもいいです。

あちこち拾い読みする権利

これは「飛ばし読みする権利」とすこし似ています。今読みたいところを読みたいだけ、味わってみましょう。

声に出して読む権利

自分の読んでいるものを知らないなら、声に出している言葉について無知であることを知らされます。もし声に出して読んでいるうちに感情があふれてきたら、作者の意図はぼやけてしまうかもしれません。朗読することで、気づきが得られることもあります。

黙っている権利

読んだ本について語る必要はありません。それは、あなたの中で反芻するものであって、誰かに見せびらかすものではないのです。人におすすめした本についても、相手が自ら語り出すまでは黙っておきましょう。

 

訳者あとがきにみる想定読者は立場・年代を問わない

この本は本を読む楽しみを語ったものだ。(中略)本を毛嫌いしている人に、そうか、俺も、あたしも、じゃあ一冊読んでみるかという気にさせてくれる。お話に興味を持ちはじめた小さな子どもを持つ親から、高校生・大学生で自分では本を読むのが苦手と思っている人、そして学生が本を読まないと嘆いてばかりいる大学の先生まで、すべての人に読んでもらいたいと思って、わたしはこの本を訳した。

出典:ペナック先生の愉快な読書法 訳者あとがき 205ページ

 

本書の翻訳者の一人である浜名優美さんの言葉です。おそらく、作者のペナック氏もおなじ気持ちではないでしょうか。

いろんな立場の人、いろんな年代の人にとって価値のある1冊です。

 

私は本嫌いを克服したい人におすすめします

ペナック先生の愉快な読書法」では、読書に対する心構えが学べます。

本を読まなくてもいいという後ろ盾があるだけで、読書に対する心理的ハードルはぐっと下がると思います。「読者の権利10ヵ条」は、あなたの読書観を変えてくれるだけのインパクトがあるので、ぜひ一度読んでみてください。

最後に、本書に書かれていた素敵なコピーを紹介しておきます。

 

本を読む時間だって?そんなの俺のポケットに入ってるよ。

ーバナナ・サンティアゴ


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