一級建築士の勉強方法【学科Ⅰ・計画】独学のコツ・試験の攻略ポイント

DOLLY

一級建築士の学科試験対策で、ひとつの山場となるのは計画の勉強です。

この記事の内容

  • 暗記科目なので理科は要らない
  • 反復学習だけど時間はかけない
  • 合格基準点と目標点
  • 計画の出題傾向
  • 建築作品を覚えることにこだわらない
  • 具体的な問題集の進め方


暗記科目なので理科は要らない

一級建築士の試験では、5科目すべてが暗記を必要とする科目ですが、その中でも計画は覚えていないと解けない問題が多く出題されます。

他の科目には、原理・原則があって論理的な定義付けがされている項目があります。

しかし、計画については理屈ありきで作られている問題は少ないです。
強いてあげるなら、「細部計画」や「計画全般」の分野における寸法設計に関する問題くらいです。

特に、建築実例や建築史の問題については、暗記していないと100%解けないと言ってもいいでしょう。

極端な言い方ではありますが、計画では理解は要らないので覚えることに専念してください。

反復学習だけど時間はかけない

出題分野が広範囲におよぶ計画で効率よく成績を上げるためには、過去問を繰りかえし解くことが一番です。

試験1ヶ月前くらいから短期間で知識を詰め込む方もいますが、もう少し長い期間を設けて定期的に勉強することをおすすめします。
具体的には、4月から本格的に過去問に取り組んで、6月が終わるまでの3ヶ月間で過去問題集を最低3周以上しておくと合格ラインが見えてくるはずです。
7月は苦手分野を少しでも克服できるように勉強するといいでしょう。

計画で出される多くの問題はスキマ時間に勉強ができる出題形式となっているで、待ち時間や電車での移動時間に勉強できます。
他の科目の息抜きに、計画の勉強をするというのもアリです。

計画の科目では、ノートを作る必要はありません。
問題の解説を読むだけでも分かるはずですが、それで足りないならテキストを読めば解決します。
ノートを作る時間があるなら、一問でも多く、一回でも多く、過去問を解くようにしてください。

合格基準点と目標点

満点 20
目標点 16
足切り点 11

この5年間で、足切り点に変動はありません。
5科目合計の合格基準点は90点前後なので、総得点が100点であれば、まず間違いなく学科試験には合格できます。
100点を取るためには、学科Ⅰ・計画で16点を目標点にするとよいです。

計画の出題傾向


出題分野 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018
計画 20 20 20 20 20 20 20 20 20
建築士の職責・設計手法等 1 1 1 1 1 1 1 1 1
居住施設 1 1   1 1 1      
学校教育・社会教育施設 1 1 2   1 1     3
医療・高齢者施設   1 1 1 1 1 1 1  
商業施設 1 1 1 1 1 1 1 1 2
細部計画 3 4 4 5 4 4 5 4 4
計画全般 5 2 1 2 3 2 3 2 1
都市計画 1 2 2 1 2 1 1 1 1
都市関連作品 1   1 2 1 1 1 2 1
建築史(古典) 2 1     1 1 1 1 1
建築史(近現代) 1 3 4 3 1 3 3 4 3
建築積算 1 1 1 1 1 1 1 1 1
建築生産(マネジメント) 2 2 2 2 2 2 2 2 2


建築作品を覚えることにこだわらない

この記事の初めで、「計画は理解より暗記が重要で、特に建築実例や建築史の問題は暗記していないと100%解けない」ということを言いました。
しかし、建築作品を覚えることにはこだわないでください。

ここで言う建築作品とは、建築実例の中でも建築家の名前とセットで覚えるものを指しています。
建築史の分野における近代建築史の範囲から出題されることが多いです。

建築作品、特に近代建築史におけるものは数が多くて、どこまで覚えればいいのか判断に困ります。
たくさんの建築作品を必死に覚えても出題数が限られているので、時間をかけてもコスパが悪くなってしまいます。

必ず暗記しておきたいのは、代表的な建築作品(三大巨匠・日本の有名建築家のもの)や過去問で繰りかえし出題されているものです。
学科試験が行われる前に建築業界で話題になった作品があれば、それも覚えておくとよいでしょう。(2019年度の試験では、プリツカー賞を受賞した磯崎新さんの建築作品が出題されるかもしれません。)

いろんな建築作品を覚えることには楽しさもありますが、学科試験に合格するための勉強と割り切って、建築作品を覚えることにこだわらないようにしてください。

具体的な問題集の進め方

一級建築士の勉強をするときには、全科目共通で次のルールを守ってください。

テキストや問題集をキレイに使わない

教材に書き込みをするのが嫌で、わざわざノートを取る方もいますが、はっきり言って時間の無駄です。

問題文に書き込みをしてしまうと、次に問題を解くときにヒントになってしまうのでダメですが、解説やテキストにはどんどん書き込みしてください。


5〜7年分の過去問がまとめられている問題集を、最低3周、できれば全問3回正解するまで繰りかえし解いてください。

  • どの分野から取り組んでもOK
  • 勉強量が偏らないように注意
  • 3周解いて正解できない問題はマーク

どの分野から取り組んでもOK

最終的にまんべんなくひととおり勉強する必要があるので、どの分野から取り組んでも問題ありません。
問題集の1ページ目からでも、目次を読んで気になった分野からでもいいです。

当サイトでおすすめするのは、例年の出題数が多い「細部計画」「計画全般」から始めて、その後に各施設(居住・教育・医療・高齢者・商業)の特徴および実例、次に「建築史」と「都市計画」、最後に「積算・生産」の順番です。

上記のような順番がいいのではないかと思うようになるまでは1ページ目から順番に勉強をしていましたが、その頃には問題周を3周以上解いていて合格ラインも見えてきていました。

個人的なおすすめを書きましたが、劇的に効率が上がる訳ではないと思うので、参考程度にして気楽に勉強してください。

勉強量が偏らないように注意

勉強する順番は好きにしていいと書きましたが、勉強量のバランスは意識してください。
「計画全般」は2周目に入っているのに、「建築史」は全然勉強していないというのはよくありません。

計画の問題は広範囲におよぶので、分野ごとにまとめて勉強すると、次の新しい分野を勉強しているあいだに知識が抜け落ちてしまうおそれがあります。

「全ての範囲で1周目が終わるまではどの分野も2周目には入らない」というようなルールを決めて、勉強量が偏らないように注意してください。

3回解いて正解できない問題はマーク

勉強量のバランスを取りながら反復学習を続けていると、問題集を3周終えたときに1回も正解できていない問題は、数えられるほど少数に限られるはずです。

そのような問題は、あなたが本当に苦手としている項目に当てはまります。
しかし、視点を変えると、この問題に正解できるようになると確実に得点がアップするということです。

自分にとって苦手な問題には1点を得られるチャンスが眠っているので、マークをして何度も勉強できるようにしておくべきです。

マークの方法はは自由ですが、次の2つがおすすめです。

  • 付箋(ドッグイヤー)をつける
  • ノートにまとめる

「付箋(ドッグイヤー)をつける」のは、最も手軽なマーキングの方法です。
問題集以外に資料が増えないのもポイントです。

「ノートにまとめる」のは、少し手間はかかりますが復習のしやすさがダントツです。
問題文と解説文を書き写すだけでも構いません。
コピーして貼り付けるだけでも十分です。
苦手問題を一覧にすることが目的なので、キレイに作る必要はありません。