2018年4月、建築をナリワイにする方にとっての必読書が出版されました。
その本のタイトルは、「建築家のためのウェブ発信講義」
著者は、アーキテクチャーフォトを運営している後藤連平さんです。
「建築」ではなく「建築家」をデザインするとは、どういうことなのか。
その答えのヒントを与えてくれる内容になっています。
本書を読んで、建築をナリワイにして生きていく方法を見つけましょう!
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「建築家のためのウェブ発信講義」の紹介
著者の後藤さんが、建築をテーマとしたウェブ発信のなかから得た知識や情報との向き合い方を、余すことなく紹介しています。
本書の推薦文は、建築家の青木淳さんによるものです。
今や、建築のデザインに着手するより前に、あなたにとっての「建築家」をデザインできる。もはや「建築家」の型はひとつではない。人はみな、驚くほど違っているので、あなたがあなたらしく生きていける「建築家」がある。では、どうやってその「建築家」をデザインすればいいか。一人で建築サイトarchitecturephotoを立ち上げて以来10年の後藤連平さんが、そのヒントを教えてくれる。
本書のテーマは、この推薦文と裏表紙にあらわれているのではないでしょうか。
- 自分らしい「建築家」とは? どうやってその「建築家」をデザインすればいいか?
- これからの建築設計事務所に必要なメディアスキルとは?
これらのテーマに対する考察が、三章構成でまとめられています。
3章 ウェブを使いこなす9人の建築家たち 実践・分析編
ピックアップされている建築家は、次の9名の方たちです。(敬称略)
建築の世界には、二つの側面がある
本書における最大のポイントは、建築の世界における「学問としての建築」と「ビジネスとしての建築」という二つの側面について、正面から触れていることだと思います。
建築メディアなどに作品が掲載されたり、それを業界内で批評したり、建築の歴史の中に位置づけようとする側面は「学問としての建築」と言えます。
そして、実際にクライアントとつながり、報酬をいただき設計することや、利益を上げるために試行錯誤する側面は、「ビジネスとしての建築」と言えます。出典:建築家のためのウェブ発信講義 17ページ
建築学生が「ビジネスとしての建築」を、目の当たりにする機会はほとんどないはずです。
『インターン(アルバイト)をしているから、そういう側面を見ることもあるけど』と思う方もいるかもしれませんが、あなたから見えているのは氷山の一角にすぎません。
それゆえ、社会に出てから「学問としての建築」とのギャップに、少なからず戸惑うことになります。
そういう背景があるので、建築の世界における二つの側面を明文化したうえで、それぞれの視点からウェブ発信を見ていくというスタンスは素晴らしいです。
また、本書で紹介されるウェブ発信の考え方や方法論が、「学問としての建築」と「ビジネスとしての建築」のどちらにも応用可能とされている点も、実用性を匂わせる魅力的な導入になっています。
ウェブ発信により拡張する「建築家」の在り方
建築家とメディアの関係性
インターネットが発達する以前は、伝統ある建築雑誌や、一流の編集者がディレクションした情報が「メディア」として認識されていました。
そして、これらの大手メディアに取り上げられるような人たちが、いわゆる「建築家」として見なされていた訳です。
もちろん、現代においても、大きな影響力を持つ建築雑誌などで取り上げられることは、とても価値のあることです。
しかし、大手メディアについて、本書では三つのことを認識しておくべきだとしています。
- 掲載されるまでの大きなハードル
- 作品を紹介するフォーマットの画一化
- どんなに著名な建築家であっても、特集し続けることはできない
従来の建築家像を目指すと、小さなパイを取り合うことになってしまうと思います。
また、有名になるまでは、個性や強みをアピールすること、情報を発信し続けることがむずかしいのではないでしょうか。
情報は、「内容」と同じくらい「発信方法」も重要である
ものづくりの世界には、「良いものをつくれば、発信に力を入れなくても伝わっていく」という考え方があります。
この考え方について、後藤さんは次のように述べています。
この考え方を、完全に間違っていると全否定するつもりはありません。ただ、そのような考え方に触れた時にいつも思うのは、その「良いもの」を、ウェブを使用し「適切な方法」で情報を発信すれば、より速いスピードで、より広範囲に伝わっていくのは間違いないということです。
出典:建築家のためのウェブ発信講義 18ページ
もう一歩踏み込んだことを言うと、「発信に力を入れなくても伝わっていく」というレベルの「良いもの」は、どんなに有名な人でも簡単に生み出せるものではないはずです。
逆を言えば、有名な人がつくったもの全てが「良いもの」だとは限らないという視点も、頭の片隅には置いておくべきだと思います。
情報が氾濫している現在では、情報を流されるがままにしていても、なかなか伝わりません。
伝えたい相手に情報を届けるには、「適切な方法」で情報を発信する必要があり、そのためにウェブをうまく使いこなすスキルが求められます。
個人メディアで、自分らしい「建築家」を発信する
「大手メディアのジレンマ」、「情報発信の最適化」から導き出されるのは、「個人メディア」のブランディングです。
ホームページや無料ブログ、ツイッターやインスタグラムなどのSNSは、ウェブ発信のためのツールとして活用できます。
情報発信のハードルが小さくなってきている現在では、これらのウェブ発信のためのツールも、メディアとしての役割を担ってきていると言えます。
また、自身が編集者として運営できるので、個性や強みを前面に押しだすこともできます。
自分らしい「建築家」を実現するために、個人メディアは効果的な情報発信の場(プラットフォーム)になります。
個人メディアを確立できれば、理想とする建築家像に近づけるはずです。
「学問としての建築」と「ビジネスとしての建築」のどちらにも活用できるのが個人メディアですが、ブランディングの方向性で、どちらに軸足があるかは変わるので、自身の強みは明確にしておきましょう。
個人メディアをつくりあげていく際に、注意しておきたいことがあります。
それは、ウェブ発信で自身の個性や強みを表現するためには、独自の手法になるはずがそうなっていないという現状です。
たとえば「about」「works」「contact」と英文のカテゴリーが並ぶ、背景が白っぽいウェブサイト。いつの間にか世界中の建築家のテンプレートとなり量産されていますが、私は、すべての建築家が同様のフォーマットを踏襲することには疑問を持っています。
出典:建築家のためのウェブ発信講義 24ページ
他のメディアにおけるデザインや構成、情報発信の方法などは参考にとどめ、自身にとって最適なものを探しましょう。
個人メディアにおいても、フォーマットの画一化には注意する
ウェブ発信において、最も重要なのは「継続」すること
「2章 ウェブ発信の技術 理論編」は、とにかく密度が濃いです。
内容は引っかかるところがないほど当たり前のことなのですが、「建築家」がウェブ発信をする視点で書かれているので、実践につなげやすいのではないでしょうか。
当たり前だけど最も重要だと感じたのは、ウェブ発信は「継続」が前提であるという事実です。
「ウェブ発信を継続する」のではなく、「継続できるものをウェブ発信する」という考え方。
意志の力だけで継続することはむずかしいので、ウェブ発信を始める前に自分が無理なくつづけられるものを探してみましょう。
他にもお伝えしたいことはありますが、各項目ごとに記事を書けるくらい濃密なので、2章については別の記事にまとめます。
>>>(仮)建築家のためのウェブ発信講義 2章のまとめ ※準備中
建築家のウェブ発信を、実際に見てみよう!
3章の内容は、ウェブ発信を実践している建築家たちの手法の解説です。
実際に、建築家にインタビューをして、後藤さんの視点でウェブ発信の方法が分析されています。
どのようにウェブ発信をしているのか、書籍を読みながら、実際に建築家のホームページ等を参照するのが一番の勉強になります。
冒頭の紹介文と、建築家が活用するウェブ媒体へのリンクを貼っておきます。
ホームページ等を参照する際に、ご活用ください。
藤村龍至/RFA 東京都
「思考をブラッシュアップし社会と連鎖するTwitterの使い方」
RFA http://ryujifujimura.jp/
Twitter https://twitter.com/ryuji_fujimura
Facebook https://www.facebook.com/ryuji.fujimura.9
堀部直子/Horibe Associates 大阪府
「潜在的なクライアントとつながるためのInstagramアカウント」
Horibe Associates http://horibeassociates.com/
Instagram https://www.instagram.com/horibeassociates/
連勇太朗/モクチン企画 東京都
「アイデアを拡散し、事業を具現化するプラットフォーム」
モクチン企画 http://www.mokuchin.jp/
モクチンレシピ https://mokuchin-recipe.jp/
伊礼智/伊礼智設計室 東京都
「建築作品と手料理を等価に扱い、ライフスタイルそのものを伝える」
irei blog https://irei.exblog.jp/
佐久間悠/建築再構企画 神奈川県
「法規を切り口に。強みを活かし建築の新しい分野を開拓する」
建築再構企画 http://kenchiku-saikou-kikaku.com/
豊田啓介/noiz 東京都
「テクノロジーの今を伝え、隣接分野を巻き込むパイオニア」
noiz http://noizarchitects.com/
Twitter https://twitter.com/toyoda_noiz
Facebook https://www.facebook.com/keisuke.toyada.925
渡辺隆/渡辺隆建築設計事務所 静岡県
「自身のパーソナリティを伝え、ファンと接するブログ発信」
渡辺隆建築設計事務所 http://www.tawatana.be/
相波幸治/相波幸治建築設計事務所・シモガモ不動産 京都府
「建築家・不動産会社・ホームインスペクション、三者三様の発信チャンネル」
相波幸治建築設計事務所 http://www.aibakoji.com/
シモガモ不動産 https://peraichi.com/landing_pages/view/shimogamo
京都のホームインスペクター http://inspectionkyoto.hatenablog.com/
川辺直哉/川辺直哉建築設計事務所 東京都
「訪問者を楽しませるオリジナルなサイト開発」
川辺直哉建築設計事務所 http://kawabe-office.com/
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