DOLLY
- 建築士として一人前になるための教科書
- 建築士が身につけるべき7つの専門知識
- 設計事務所で働きはじめた頃に欲しかった1冊
建築士になるための本は資格対策書籍を含め数多くありますが、建築士として食べていくための本を見かけたことはありません。
また、有名な建築家の自伝などで紹介される仕事の進め方は、建築設計を仕事にしている多くの一般の方にとっては参考にならないものが多いです。
『新米建築士の教科書』は「建築士として食べていくための勉強」の助けになる本です。
紹介されるノウハウには再現性があり、仕事に活かせる知識・技術を身につけることができるので、建築設計の職に就いたばかりの方は一度読んでみるべきです。
※この記事は4分ほどで読めます。4分後には、『新米建築士の教科書』を読みたくなっているはずです。
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建築士として一人前になるための教科書
『新米建築士の教科書』の想定読者は、建築設計の職に就いていて、日々の仕事で何かしらの不安を感じている方です。
不安を感じるのは当然です。おそらくみなさんは、どうすれば一人前の建築士になれるかを、体系的に一度も学習したことがないからです。困ったことに、有名建築家を輩出することが唯一の目的である大学では、実務で役立つことをほとんど教えません。また、現在の会社は、おそらく「設計は盗むもの、自ら学ぶもの」という方針でしょうから、今後もきちんと教えてもらえる見込みはありません。
出典:新米建築士の教科書 はじめに 4ページ
本書の内容は、大きく「サポートスタッフとしての仕事」と「物件担当者としての仕事」の2部に分かれ、全6章で構成されています。
全体を通して小さな住宅を例にした内容がまとめられていますが、建物の用途に関係なく建築設計の基本がこの1冊で学べます。
- CHAPTER1 誰でもできる7つの成長習慣
- CHAPTER2 「できる!」と思われる事務所仕事のこなし方
一流の建築士が日頃から「習慣」にしていることや、事務所での仕事のこなし方、ヒアリングや事前調査の方法など、設計事務所で仕事をする上で身につけておきたい「基本」をご説明します。
出典:新米建築士の教科書 8ページ
- CHAPTER3 はじめての現地調査とお施主ヒアリング
- CHAPTER4 ワンランク上の設計を実現する7つのシンプルルール
- CHAPTER5 はじめてのプレゼン
- CHAPTER6 現場監理をスムーズに行うための6つのポイント
現場調査から本格的な設計のコツまで、一人前になるために身につけておきたい「秘密のテクニック」をご紹介します。
出典:新米建築士の教科書 82ページ
建築士として成長するための習慣、サポートスタッフとしての仕事のノウハウ、事前調査とヒアリング、設計のコツ、プレゼンの鉄則、現場監理をスムーズに行うための秘訣
建築設計をするために身につけていくべき基本的なポイントが網羅されているので、本書を読み進めることで「仕事の流れ」や「自分に足りないスキル」を確認することができます。
若手設計者にうってつけの1冊であることは間違いありません。
建築士が身につけるべき7つの専門知識
『新米建築士の教科書』は、意匠設計を専門としている設計者向けにまとめられた本ですが、意匠(デザイン)だけを極めればよいのではなく、建築と関わりの深い周辺知識についても身につけるべきだと書かれています。
その中でも、特筆すべき7つの項目があげられています。
- 資金計画の基礎知識
- 土地探しの基礎知識
- 工務店選びの方法
- 電気や設備の基礎知識
- 水回りの最新事情
- 汚れやすさやメンテナンスの知識
- 外構の知識
①資金計画の基礎知識
建物ができあがるまでには、設計料、土地関連費用、ローン関連費用、建設費用、各種税金など、さまざまな費用が発生します。
個人・法人を問わず発注者は総予算を低く見積もりがちなので、資金計画の基礎知識を身につけておくことで予算に見合った提案をすることができます。
②土地探しの基礎知識
立地にこだわることで土地の取得費用が高くなってしまうと、建物にお金をかけられず、満足のいかない結果になってしまうおそれがあります。
住宅を設計する場合、土地探しから相談されることもあるので、建築の観点からだけでなく不動産の観点からも土地のことを知っておく必要があります。
③工務店選びの方法
建築士の役割は、設計だけでなく監理も重要なウエイトを占めています。
しかし、実際に手を動かして建物を作るのは施工者(工務店・ゼネコン)です。
よりよい建物を作るためには施工者の選定が重要なので、専門家だからこそできるアドバイスをして、クライアントが安心して施工者と契約を結べるようにしなければいけません。
④電気や設備の基礎知識
小規模な物件であれば、電気・設備の設計も意匠設計者が行うことが一般的です。
建築との取り合いだけでなく最新の設備機器や家電の仕様まで、知っておいたほうがいいことは山のようにあります。
設備関係については、生活における利便性と直結するものが多いので、ぜひ広範で深い知識を身につけておきたいものです。
⑤水回りの最新事情
住宅の場合、クライアントの要望が集中しやすいのが水回りです。
それだけに、各メーカーは最新の技術を詰め込んだ新商品を次々に開発しています。
ショールームに定期的に足を運ぶなどして、最新の情報をキャッチするようにしましょう。
⑥汚れやすさやメンテナンスの知識
引渡し時点では出来たてほやほやの綺麗な建物も、年月が経つにつれて汚れや不良点が発生してしまいます。
これは避けられないことですが、設計のときに注意しておくことでそれらの程度を軽減することができます。
クライアントのこだわりを実現させることも重要ですが、技術的にも金銭的にもメンテナンスをしやすい提案をすることが、長い目で見たときに満足度の高い建物となることもあります。
⑦外構の知識
周辺環境との調和は、よい建物のエッセンスとも言えます。
しかし、土地・建物にこだわり過ぎて、もっとも身近な周辺環境である外構(植栽、柵や門などの設えなど)をなおざりにしてしまっている物件は多いです。
隣地境界のフェンスや門扉などは意外と高価なので、建物の設計と同時進行で外構計画も考えておくべきです。
まだまだ知っておくべき知識はたくさんありますが、これら7つの専門知識を身につけておくとクライアントからも一目置かれ安心してもらうことができます。
現在はサポートスタッフとして働いている場合でも、打合せの席でクライアント目線の意見を出すことができれば上司・先輩からも評価されるはずです。
設計事務所で働きはじめた頃に欲しかった1冊
『新米建築士の教科書』の初版が発刊されたのは 2017 年の3月で、私は発売後すぐに本書を購入しました。
そのときは設計事務所に勤めて3年目が終わろうとしている頃だったので、本書を読んで目新しいことがたくさん出てきたのかというとそうではありませんでした。
しかし、それは裏を返せば、設計事務所で働きはじめた頃に『新米建築士の教科書』があれば助かっただろうなという内容が盛りだくさんだったということです。
事前調査や現地調査のノウハウ、スケジュール調整術など、設計事務所での実務についてここまで具体的な内容に言及している本は他にないと思います。
具体的な仕事術はもちろん、一流建築士のテクニックも紹介されていて、学びになることがたくさん詰まっています。
著者である飯塚豊さんは、建築系書物としてベストセラーとなっている『間取りの方程式』も執筆しており、そちらでは設計にスポットを当て、より具体的な設計のコツを紹介しています。
『新米建築士の教科書』を読むことで、建築士としての職能の基本を押さえることができます。
そのうえで、設計・プレゼン・現場監理、その他の専門知識(不動産や資金計画など)で学びたいことを、それぞれの専門書を使って勉強していくとスムーズに知識を身につけられるはずです。
まずはこの本を読むことで建築士としてステップアップすると、もやもやした不安感はなくなり自信を持って仕事にのぞめるのではないでしょうか?
駆け出しの建築士には必ず読んでほしい「若手設計者のバイブル」と言える1冊です。
おわりに
- 建築士として一人前になるための教科書として、建築設計をするために身につけていくべき基本的なポイントが網羅されている
- 意匠(デザイン)だけを極めればよいのではなく、建築と関わりの深い周辺知識についても身につけるべき
- 駆け出しの建築士には必ず読んでほしい「若手設計者のバイブル」と言える1冊
「建築士になるための知識」ではなく「建築士として食べていくための知識」を得たい方は、一度この本を読んでみてください。
若手設計者が自身のスキルアップのために読むだけでなく、設計事務所や工務店の経営者・教育担当者が新人研修用の教本として活用することもできます。
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